【実話】オフィス開催ファミリーイベントで起きた“スクリーン問題”
企業が主催するファミリーイベントは、年々増えています。
社員の家族を呼んで楽しんでもらうイベントは、企業ブランディングとしても効果的で、社内の雰囲気向上にもつながる、とても良い取り組みです。
しかし…
“会社のオフィス内で開催する”
というのは、実は技術面でかなり難易度が高いんです。
今回は、実際にあった案件をもとに、
「オフィスでイベントやる時ってこういうところが大変なんです」
という“リアルな現場目線”の物語としてお届けします。
■1.最初の相談:「大きなスクリーンで迫力ある映像を!」
ある日、企業の担当者さんから一本の連絡がありました。
「会社のオフィスでファミリーイベントを開催したいんです。
大きいスクリーンとステージを置いて、プロジェクターで映像を映したいのですがお願いできますか?」
聞くと、オフィスの大会議室をイベントスペースに転用し、
子ども向けショーや表彰式を行う予定とのこと。
オンラインで資料をいただき、間取りもチェック。
広さ的には問題なし。
設備もそれなりに整っていて、配信にも向いている。
ただ、一つだけ気になったポイントがありました。
「天井高、そんなにないな……」
オフィス内の会議室は、ホテルやイベントホールのように高い天井ではありません。
平均的には2.4m〜2.8mほどしかない場合が多く、
ここが“スクリーン選びの最大の壁”になるのです。
■2.ステージの高さとスクリーンの縦サイズがぶつかる問題
担当者さんの理想は、150インチ程度の大きなスクリーン。
でも、150インチのスクリーンってどれくらいのサイズか知っていますか?
- 縦約187cm
- スクリーンの上部には黒幕=余白が数十センチ
- 下端も床から少し上げないと見えない
つまり、
本体187cm + 上部余白30cm + 下部余白30cm = 約2.5m必要。
オフィスの天井が2.4mの場合、完全にアウトです。
さらに今回は、
ステージを30〜40cmほど設営する必要がある
という条件が追加。
ステージが高くなると、スクリーンの下端をさらに上げなければならないため、
実質、設置できるスクリーンはさらに小さくなります。
オンラインの説明で私はこう伝えました。
「申し訳ないのですが、天井高とステージ高さを考えると…
150インチどころか120インチでも厳しいかもしれません」
すると担当者さんは、
「えっ?オンライン会議室でも映してますし、
スクリーンってどれでも置けるんじゃないんですか?」
そう思われるのは当然です。
でも、スクリーンは“縦幅が固定”なので、
天井高という絶対的な物理制限には勝てません。
■3.オンラインでは伝わらない「現場の感覚」
オンライン会議で図面を開いて説明しても、担当者さんはどうしても腑に落ちない様子。
これはよくあることなのですが、
スクリーンとステージの関係は、図面では伝わらないんです。
スクリーンの縦の長さ、
ステージの高さ、
床からの見え方、
天井の梁の位置、
こういう要素は、実際に空間の中に立ってみないと理解しにくいのです。
そこで私は担当者さんに提案しました。
「一度、実際の会場でお会いして現場を見ながら説明しましょう」
これはプロとしてかなり重要な判断で、
現場を一緒に歩きながら説明すると、
イメージが一気に明確になるからです。
■4.現場へ同行してわかった“想像とのギャップ”
後日、担当者さんと会場で合流。
まずは、持参した測定器で天井高を正確に計測。
やはり2.4mほど。
ステージ30cmを置くと、実質使える高さは2.1m前後。
私は実際の縦幅を示すため、
メジャーを伸ばしてスクリーン高さを再現して見せました。
すると担当者さんはひと言。
「……こんなに大きいんですね」
オンライン会議では気づいていなかったポイントが、一気に現実味を帯びます。
そしてさらに気づいてもらうため、もう一つのポイントを説明しました。
■5.プロジェクターとスクリーンの距離問題が発生
スクリーンが小さくなると、
当然、投影距離も短くなります。
プロジェクターというのは、
スクリーンから一定の距離がないと綺麗に映せない
という特性があります。
また、登壇者が前に立つと
スクリーンに“影”が映ってしまう。
特にオフィスのような狭い空間だと、
影問題はかなり大きな課題になります。
私は現場で説明しました。
「ステージの上に登壇者が立つと、この位置で影になります。
プロジェクターはここに置かないと映らないので…
スクリーンはこのサイズが限界です」
実際にその場で登壇者に見立てて立ってもらうと、
影が大きく出る様子が明確に見えました。
担当者さんもその瞬間、ようやくすべてを理解してくれました。
■6.“イメージと現実の差”を理解してもらうのが一番大変だった
今回の案件で一番時間がかかったのは、
実は機材の準備でも設営でもなく、
「担当者さんに状況を理解してもらうこと」
でした。
イベントの世界は、
イメージでは簡単でも、
現場では複雑な制約が山ほどあります。
- 天井高
- ステージ高さ
- 会場の奥行き
- プロジェクターの距離
- 影問題
- 視認性
- 動線
- 安全性
- 消防法
これらをすべて考慮したうえで、適切なスクリーンサイズを選ぶ必要があります。
オンラインの画面越しではどうしても伝わりづらく、
現場で説明することでようやくイメージと現実のギャップを埋めることができました。
■7.最終的に決まった構成と、担当者さんの言葉
最終的に導き出した構成は、
- 100インチのスクリーン
- プロジェクターは短焦点タイプに変更
- ステージは20cmに調整して視認性を確保
という、現実的で安全な組み合わせでした。
担当者さんは最後にこう言ってくれました。
「オンラインで聞いている時は納得できなかったけど、
実際に見てみると全然違いました。
プロに直接説明してもらって本当に良かったです。」
この瞬間、
“現場で説明することの価値”を改めて感じました。
■8.まとめ:オフィスイベントは“プロと一緒に現場を確認”が絶対に必要
今回のように、
オフィス内でイベントを行う場合は、
- 天井が低い
- 奥行きがない
- 影問題が発生しやすい
- スクリーンが想像より大きい
- 機材のポテンシャルとイメージがズレがち
という“見えない落とし穴”がたくさんあります。
だからこそ、
■ オフィスイベントは
現場同行してもらうことが成功のカギ。
オンラインでの打ち合わせだけでは、
どうしても限界があります。
実際の空間で、
その場で高さを見せて、
その場で影を確認して、
その場で距離感を共有する。
これが、
“トラブルゼロのイベント”への最短ルートです。


