社内イベント 企画|リアルとオンラインのハイブリッドイベント
社内イベントを「会場参加+オンライン配信」で実施する企業が増えています。キックオフ、表彰式、総会、周年行事など、集まれる人は会場に、来られない人はオンラインで参加する――一見すると理想的な形に見えますが、実際の現場では「どちらも中途半端」「オンライン参加者の満足度が低い」といった声も少なくありません。
その最大の原因は、“平均的な充実感を求めすぎている”ことにあります。リアル参加者とオンライン参加者が、まったく同じ満足感を得ることは構造上かなり難しいのです。
本記事では、社内イベントを配信する際にもっとも重要な考え方として、
- オンラインとリアルは同じ体験にならない
- 同じ進行で満足させようとしない
- オンラインは「別のイベント」として設計する
という視点から、失敗しない社内イベント配信の考え方と実践ポイントを解説します。
社内イベント配信が増えている理由
社内イベント配信が広がった背景には、次のような理由があります。
- 全国・海外拠点の社員も参加させたい
- 出張や家庭の事情で来場できない人がいる
- 感染症対策やリスク分散
- 参加率を高めたい
これらの課題を解決する手段として「ハイブリッド型(会場+オンライン)」が選ばれています。しかし、形式だけ真似しても、満足度の高いイベントになるとは限りません。
平均的な充実感を狙うと失敗する
多くの社内イベント配信が失敗するパターンはこうです。
- 会場の進行をそのまま配信に流す
- オンライン側は“見るだけ”になる
- リアル参加者だけが盛り上がる
- オンライン参加者は置いてきぼり
その結果、 「会場は楽しかったけど、配信は正直つまらなかった」 「結局、配信は録画でよかったのでは?」 という評価になってしまいます。
これは、リアルとオンラインの“体験構造”がまったく違うのに、同じ満足度を同じ方法で作ろうとすることが原因です。
リアル参加とオンライン参加は同じ体験にならない
まず理解すべき前提があります。
- リアル参加者は「空間・空気・人の熱量」を体験している
- オンライン参加者は「画面と音声」だけを体験している
この差は、技術がどれだけ進んでも完全には埋まりません。
例えば、
- 会場の拍手や笑い
- 登壇者の目線や動き
- 周囲の社員の反応
これらは、会場にいるからこそ感じられるものです。オンライン参加者は、それを“間接的に見る”だけになります。
つまり、
オンラインとリアルが同じ満足感になる、という前提自体が無理のある考え方
なのです。
同じコンテンツで両方を満足させようとしない
よくある考え方は、
- 会場でやることを、そのまま配信すればいい
というものです。しかしこれは、
- 会場向けに最適化されたイベントを
- 無理やりオンラインに流している
だけの状態です。
リアル向けに作られたイベントは、
- 長めの挨拶
- 会場内の演出
- その場の空気を前提とした進行
が多く含まれます。これをオンラインで見ると、
- 間延びする
- 何が起きているのか分かりにくい
- 参加している実感がない
という不満につながります。
だからこそ重要なのは、
リアルイベントの進行と、オンラインイベントの進行を“別物”として考えること
です。
オンラインは「リアルに合わせた別進行」で作る
理想的な考え方はこうです。
- メインの軸はリアルイベント
- その進行に合わせて
- オンライン専用の進行を重ねる
つまり、
- リアル用進行台本
- オンライン用進行台本
を分けて作るイメージです。
オンライン側では、
- 今何が起きているかを分かりやすく伝える
- カメラ映像を切り替える
- オンライン参加者への呼びかけを入れる
- チャット・投票・リアクションを使う
など、オンラインならではの演出を組み込む必要があります。
社内イベント配信でよくある失敗例
1. カメラが固定で単調
- 登壇者しか映らない
- 会場の雰囲気が伝わらない
- 画面がずっと同じ
→ オンライン参加者はすぐに飽きます。
2. 音が聞き取りにくい
- 会場のスピーカー音をマイクで拾っている
- ハウリングや反響がある
→ 音が悪いだけで満足度は一気に下がります。
3. オンライン参加者への配慮がない
- 会場の人だけに話しかける
- オンラインの存在に触れない
→ 「自分たちはただ見せられているだけ」と感じます。
成功する社内イベント配信の考え方
1. オンライン参加者を“別の客層”として見る
オンライン参加者は、
- 画面越し
- 一人で参加していることが多い
- 気が散りやすい
という特徴があります。だからこそ、
- テンポを早めに
- 説明は丁寧に
- 参加型要素を多めに
設計する必要があります。
2. オンライン用の役割を作る
- オンライン専用司会
- オンライン用進行担当
- チャット対応スタッフ
など、リアルとは別に“オンライン側を見る人”を必ず置きます。
リアルの司会が会場対応だけで手一杯になるのは普通です。オンラインは専任で見る体制が必要です。
3. オンライン用コンテンツを用意する
例えば、
- オンライン限定クイズ
- 投票・アンケート
- コメント紹介
- 表彰者へのオンライン質問
など、
「オンラインで参加しているからこそ楽しい」
と思える要素を入れることが重要です。
社内イベント配信で意識すべき機材と環境
考え方だけでなく、技術面も重要です。
- カメラは最低2台以上(全体・登壇者)
- 音声はミキサーから直接配信へ
- 安定した有線回線を使用
- 配信テストは必ず事前に実施
特に音声は、
「多少映像が荒くても、音が良ければ満足度は保たれる」
と言われるほど重要です。
オンライン参加者が“見ているだけ”にならないために
オンライン参加は、放っておくと「参加している」ではなく「ただ見ている」状態になりやすいのが大きな弱点です。会場にいれば、拍手や笑い、周囲の反応に自然と巻き込まれますが、オンラインでは画面の前に一人で座っているだけになり、気が散りやすく、離脱もしやすくなります。
だからこそ、社内イベント配信では、
オンライン参加者に「自分もイベントの一部だ」と感じてもらう設計
がとても重要になります。
チャットを“飾り”ではなく“導線”として使う
多くの配信では、チャット機能は「一応ついているだけ」になりがちです。しかし本来、チャットはオンライン参加者がリアルタイムでイベントとつながるための重要な装置です。
- 感想を書いてもらう
- 登壇者への質問を投げてもらう
- クイズや投票の回答を入れてもらう
- 会場側がチャットを読み上げる
こうしたやり取りがあるだけで、
- 見ている → 参加している
という感覚に大きく変わります。
特に効果的なのは、
- 会場の司会や登壇者が
- オンラインのコメントを拾って
- 会場で紹介する
という流れです。
「オンラインからこんな声が来ています」 と会場で紹介されるだけで、オンライン側は
自分たちもちゃんと“そこにいる”
と感じられるようになります。
ウェビナーモードは“見せるイベント”になりやすい
多くの配信では、
- 視聴者は音声オフ
- カメラもオフ
- 発言はできない
という“ウェビナーモード”が使われます。これは大人数を安全に運営するには便利ですが、どうしても
- 一方通行
- テレビを見る感覚
- 参加感が薄い
という弱点があります。
情報を届けるだけなら問題ありませんが、社内イベントの目的は
- 一体感を作る
- 社員同士をつなぐ
- 同じ時間を共有する
ことにあるはずです。そう考えると、
ずっと「見るだけ」のウェビナー形式は、社内イベントには向かない
ケースも多いと言えます。
会議モードで“つながる仕組み”を作る
そこで有効なのが、
- 会議モード
- 双方向型の配信
という考え方です。
もちろん、全員が自由に話せる状態にすると、
- 音がかぶる
- 進行が崩れる
- 収拾がつかない
という問題が起きます。だから大切なのは、
ルールを決めたうえで、双方向性を作ること
です。
例えば、
- 普段は全員ミュート
- 発言したい人は「手を挙げる」機能を使う
- 司会が指名してマイクをオンにする
- 発言は30秒以内
といった簡単なルールを最初に共有するだけで、
- 秩序を保ちつつ
- 双方向のやり取り
が可能になります。
オンラインと会場を“つなぐ”瞬間を意図的に作る
重要なのは、
- 会場だけ
- オンラインだけ
で完結させないことです。
例えば、
- オンライン参加者に質問 → 会場で回答
- 会場の様子を映す → オンラインがコメント
- オンラインの意見を投票 → 会場で結果発表
といった形で、
両者が影響し合う場面
を意図的に作ることが大切です。
こうした瞬間があると、
- オンラインは「ただの視聴者」ではなくなる
- 会場側も「画面の向こうに仲間がいる」と意識できる
ようになります。
参加ルールを最初に“はっきり”伝える
双方向型にする場合、
- 何をしていいのか
- 何をしてはいけないのか
を最初に明確に伝えることが不可欠です。
例えば、
- 基本はミュート
- 発言は挙手機能から
- チャットは自由に書いてOK
- 誹謗中傷・業務外の書き込みは禁止
など、簡単でいいのでルールを共有します。
これだけで、
- 参加しやすくなる
- 余計なトラブルを防げる
という効果があります。
オンライン参加者が「どう関わっていいか分からない」状態だと、結局、
見ているだけ
になってしまいます。
だからこそ、
参加の仕方を“最初にデザインする”こと
が、社内イベント配信では非常に重要です。
まとめ:社内イベント配信で一番大切なこと
社内イベントを配信する際、もっとも大切なのは、
平均的な充実感を求めすぎないこと
です。
- リアル参加者とオンライン参加者が
- 同じ満足感を得ることは難しい
- 同じ進行で楽しませることもできない
だからこそ、
- リアルイベントの進行
- オンラインイベントの進行
を最初から別で設計し、
オンラインは「リアルに合わせた、別のイベント」
として作ることが、成功への一番の近道です。
社内イベント配信は、
- ただ映すこと
- ただ配信すること
が目的ではありません。
画面の向こう側にも、ちゃんと“参加している”と感じてもらうこと
それを意識して設計するだけで、社内イベント配信の満足度は大きく変わります。

