|リアル会場と配信の両立を実現する音響設計
ハイブリッドイベントは、会場に来場する参加者とオンライン視聴者が同時に参加するイベント形式として、今や企業セミナー、シンポジウム、株主総会、展示会、周年式典などに広く採用されています。
映像・照明・演出など多くの要素が絡む中で、実は**最も重要な要素は「音声設計」**であると言われています。
なぜ音声が重要なのか?
その理由は、リアル会場にも音声を届ける必要性があるだけでなく、同時に配信にもキレイに音声をのせる必要があるという、ハイブリッドイベント特有の要件にあります。
会場のスピーカーシステムとオンラインの配信オーディオは、同じマイクから音を拾っているとしても、必要な音量・定位・処理方法は異なります。この違いを理解せず運用すると、ハウリング、音割れ、視聴者離脱、登壇者の声が聞こえないといったトラブルにつながります。
本記事では、ハイブリッドイベントにおける音声の重要性、マイクの特性、運営視点での音響設計方法、そしてよくある課題と対策について解説していきます。
1|ハイブリッドイベントで音声が重要視される理由
▶ 理由①:会場とオンライン視聴者に音声を届ける必要がある
通常のリアルイベントでは、音声は会場内だけを満たせば成立します。
しかしハイブリッドイベントでは、
- 会場のスピーカーから聞こえる声
- 配信側の視聴者に届けるクリアな音声
という2つの目的に対して最適化する必要があります。
会場では「響き」「空間的広がり」「音圧バランス」が重要ですが、オンライン側では「明瞭さ」「ノイズのなさ」「適正音量」「声の近さ」が評価されます。この差が、設計の難易度を上げています。
▶ 理由②:映像よりも音声品質の低下による離脱率が高い
数多くのイベント分析データでは、オンライン視聴者の離脱理由のトップが**「音声が聞き取りにくい」**であることがわかっています。
映像が多少フリーズしても視聴者は耐えられます。しかし、音声が聞き取れないと、内容そのものが伝わらず視聴を続ける価値が失われます。
つまり、オンライン視聴者は音声が聞こえるかどうかでイベントのクオリティを判断するということです。
2|マイク運用が成功の鍵になる理由
ハイブリッドイベントの音声設計において、最も重要な要素はマイク選定と設置方法です。
特に理解すべきポイントは、
マイクの特性上、近くの音しか拾わない事がポイント。
という性質です。
これはデメリットではなく、音声設計においてはむしろメリットになります。
会話者の声だけを明確に拾い、周囲の雑音や会場ノイズ、空調音、観客の動きなどを拾わないことで、オンライン視聴者へクリアな音声が届けられるからです。
適切なマイク運用により、
- 声の存在感(コンプレッション感)
- 明瞭度(子音や抑揚)
- 音声の距離感(自然な定位)
が成立します。
3|マイクの種類と使い分け
ハイブリッドイベントで使用される主なマイクは以下の通りです👇
| マイク種類 | 特徴 | メリット | 向いている用途 |
|---|---|---|---|
| コンデンサーマイク | 高感度・繊細な音 | 声の質感が綺麗、オンライン視聴者満足度が高い | 登壇者・講演・トークセッション |
| ダイナミックマイク | 頑丈・雑音に強い | 会場ノイズに強い、扱いやすい | MC、パネルディスカッション、ライブ用途 |
| ピンマイク(ラベリア) | ハンズフリー | 登壇者が歩く場合に最適 | 講演・企業発表 |
| ショットガンマイク | 指向性が高い | 距離があっても拾える | カメラ連携、ステージ収録 |
この中でも、配信への音質優先の場合はコンデンサーマイクが特に採用される傾向があります。
4|リアル会場と配信音声を両立するミキシング設計
ハイブリッドイベントでは、会場用と配信用の音を分ける**「ミックスマイナス構成」**が基本です。
設計例👇
マイク → ミキサー →
├── 会場スピーカー
└── オーディオインターフェース → 配信PC → Zoom / Teams / YouTube
これにより、
- 会場では自然な音響空間
- 配信では近接感・明瞭な声
という理想的なバランスを実現できます。
5|トラブルを防ぐための音声チェック項目
本番前に必ず行うべきチェック👇
✔ マイク距離と音量調整
✔ ハウリングポイントの確認
✔ ノイズ・レベル・EQ調整
✔ 配信側の音量確認
✔ 視聴者用テスト環境での聞こえ方チェック
特にオンライン環境での確認は必須です。
まとめ|音声はイベントの印象を決める要素
ハイブリッドイベントでは、映像や演出よりも、まず音声が安定していることが最優先です。
理由は明確で、
- リアル会場にも音声を届ける必要性があり
- 配信にもキレイに音声をのせる必要があり
- マイクの特性上近くの音しか拾わない事がポイント
だからです。
つまり、音声設計は技術ではなくイベント体験を作る要素と言えるでしょう。


